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山あいで狩猟採集生活を目指す野楽生(のらぶ)のあしあと

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マキリを手にする 模様を感じる
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    イルイケ エアシカイ クルの紹介で知った「アイヌ工芸作品コンテスト」を見に、東京池袋に行った。

    イルイケ エアシカイ クル(i-ruyke e-askay kur)は本州人(和人)だけれども、アイヌの文化、とりわけ衣類の装飾やマキリ・タシロなどの彫刻に惚れ込んで、北海道にを訪れるたびに行きつけのアイヌ民芸品店で服等を作ってもらっているそうである。
    このブログを通して交流が始まり、七月末に行われたコンテスト展示を機会に初対面し、所有のマキリなどを見せてもらった。

    このコンテストはアイヌ文化振興・研究推進機構が催していて、アイヌ文化の伝統的な工芸作品や、アイヌに関する現代的創作作品を審査・展示している。

    会場をゆっくり眺めているところイルイケ エアシカイ クルらしきひとを見つけ、声をかけた。あらかじめ連絡していたとおり、彼はアイヌ模様の入った服を着て、アイヌ模様の入った鞄を肩に掛けていた。こちらはサニ族作アイヌ模様の麻布の上着、それにサニの青い肩掛け鞄を身につけている。模様の引き合わせた会合だ。

    一緒に展示作品を眺めてから、腰掛けに座ってアイヌ文化の話題で雑談する。そして、今日おれが最も楽しみにしていた、マキリを手にする瞬間がやって来た。現在こしらえているナイフの柄・鞘の参考にと、イルイケ エアシカイ クルが持参することを約束してくれていたのだ。
    幾つものマキリとタシロを持ってきてくれたなかで、このマキリが一番参考になると思った。




    おれのナイフのように反りの無い真っ直ぐな刀身で、長さもほぼ同じくらい。柄のでっぱりには中指を引っ掛ける。手のひら全体に掴んでいるようで握りやすく、安定感がある。握り方を変えて人差し指だけを引っ掛けるようにすると、彫刻などの、力を使わない細かい作業に良いような気がする。
    鞘から刀身が抜け落ちないようにするため、刃に近い柄の部分に凹凸があり、これが鞘の入り口の凹凸に嵌るようになっている。これも勉強になった。刀のハバキのような部分を作ることは考えていたけれど、このマキリのようにカチンと嵌るものは考えたことがなかったからだ。製作に取り入れることにしよう。

    他のマキリやタシロも紹介したいけど、作り手の承諾を貰っているわけではないので見合わせることにします。幾人もの作家さんが違う種類の木、違う形や模様で作った様々な道具がありました。
    どれも個性と特徴がある作で、甲乙をつけるつもりは毛頭ないのは言うまでもないけれど、現在おれのナイフ作りにとって最も参考になると思ったのが写真の作品でした。

    そのほかにも手甲や脚絆も見せてもらって、ふつうの脚絆と違って膝を覆うものがあるのが面白かった。


    やわらかい布だから縛ってあるところより上の部分は簡単に折れてしまうけれど、これが硬めの革であれば非常に役立つ作りとなるだろう。革鞣しの技術を磨いてきっと作りたい。

    残念ながらイルイケ エアシカイ クルは忙しく、あまり時間がとれないので大急ぎで話を終わらせたという感であった。でも今後また、機会はいくらでも生まれると思う。

    昼食のためにいったん会場を離れるが、その後もどってきて再び展示作品郡を見たり、設置してあるアイヌ文化のビデオでタシロ作りやイオマンテを見た。


    そして、思いを馳せる。

    アイヌの男たちが囲炉裏ばたでマキリを操り、木工彫刻を仕上げていくさま。フチ(おばあさん)が衣類に刺繍をほどこしている。遊び疲れて寝息をたてる子どもたちをつつむ部屋の空気は大人の夜なべ仕事をしている静かな動きを伝え、ひとつの火に暖められている。
    チセ(家)の外は星明り、耳を澄ませば梟の声や葉擦れの音が聴こえてくるだろう。

    そんな生活のなかで、この工芸品たちにめぐり逢いたい。
    生きるに必要な道具として、大地の息を吸っているものどうしとして、道具を作り、使いたい。


    博物館に並べられた過去の産物を見るようなかたちでおれはかれらを見たくない。記録映像としてモニターの中に、見たくない。

    百年前アメリカの万博でアイヌの一家が「展示」され、「再現」されたチセでの「生活」を見せていた。その家族のこころはどんなだっただろう。
    展示物を見に来る文明人たちを何百とむかえながら淡々と時を過ごしていた彼らが、ひとつだけ激怒したことがあるという。カムイが出入りするときに使う神聖な「神座の窓」を、観客の一人がぶしつけにも覗き込んだとき、一家で一番年配の男が怒号したのだ。
    海をへだてて遠い異国に見物人相手の仕事をしに来ていても、彼らのこころに民族の魂は生きつづけていた。


    模様には、その土地の風土をかてとして、祖先(おや)たちの魂が宿っていると思う。ひとつひとつの形に意味があり、知ると知らざるとにかかわらず、その模様におれたちの息は守られている。
    自然界にあるさまざまなかたち、美しい形たちを、必要に応じたエッセンスとして取り出し伝えられてきた模様たちは、声にのせて耳にする言葉とはまたべつの、目に見える言語たちだ。

    模様たちを再び息づかせ、大地との絆をつないでいくことが、きっとできると思う。
    模様に魅せられているイルイケ エアシカイ クルを見ていると、それは遠い先のことじゃない。

    風景や模様を見て、こころ惹かれるとき、身体の中に流れている先祖の血が、なにかを呼んでいるのだろう。


    ※関連記事
    ナイフの柄のかたち マキリのマはマタギのマ?
                  (2007.06.11)
    民族衣装 (2006.10.18)
    模様 (2006.04.28)
    | ものづくり | 08:10 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
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